2040年のカナダの未来を想定する分析レポート(公式)要約をシェアします。

レンズモードが北米大陸市場攻略のためにバンクーバーの地に現地法人を設立してはや12年が経とうとしています。僕はカナダ大好きなんすよ。米国の100倍好き。バンクーバー法人が在ることもあり、ここ10年はちょちょい訪れる用事があって嬉しいです。カナダ市場向けサイト https://perfectlens.ca も昨年は開業10周年の様々な企画を実施させてもらいました。

いまカナダは、トランプ大統領になってからたいへんアレなことなってて、色々と心配なんですが、そんななか、こちらの2025年1月~2月に発行されたカナダのPolicy Horizons Canadaによるレポート「Future Lives: Social Mobility in Question」の要約を読んで納得しつつ、しんみりしたんです。…というかこれって、(2040年じゃなくて)いまの日本とけっこう共通点ないか、と感じました。

レポートは、カナダにおける社会的流動性(社会階層の上昇や下降)が今後どのように変化するか、特に2040年の未来を想定して分析しています。 なんか目的があるわけではないんですけど、記録とっとこう、皆さんにシェアしよう、という目的でブログを書いてます。

著者のPolicy Horizons Canadaはカナダ連邦政府の公式機関で、内閣府に属す戦略的フォーサイト(将来予測・未来洞察)を専門とするシンクタンクです。政策立案者や政府関係者に対し、将来の社会・経済・技術の変化を見据えた政策提案や分析を行う「カナダ政府の未来志向の中核機関」と位置付けられています。

レポート本文のURL (PDF)はこちらです。https://horizons.service.canada.ca/en/2025/01/10/future-lives-social-mobility/pdf/future-lives-social-mobility-en.pdf

 

**カナダ社会の現状と変化**
– これまでカナダでは「努力すればより良い生活を手に入れられる」という社会的約束が根付いていました。
– しかし、近年は富の格差が拡大し、子ども世代が親世代より上昇することが難しくなっています。
– 今後は「社会的流動性の低下」や「下方移動(親より貧しくなる)」が一般的になる可能性が高いと予想されています。

**2040年のカナダ社会の特徴**
– 上昇志向の社会的流動性はほとんど見られなくなり、多くの人が自分や子どもの生活を向上させることを諦めています。
– 代わりに「社会的地位が下がること」への不安が広がっています。

**主な変化と課題**
– **高等教育**:学費や生活費の高騰で、裕福な家庭以外は進学が難しくなり、教育が社会的流動性の手段ではなく「エリートの証」となります。
– **住宅**:持ち家は一部の人に限られ、家族からの支援や複数世代同居が増加。不動産所有者と賃貸者の格差が社会的対立を生みます。
– **世代間の富**:相続が唯一の「成功の道」となり、社会は貴族的な階層社会へ移行します。
– **社会的分断**:異なる階層間の交流が減り、アルゴリズムによるマッチングや「ゲーテッド・メタバース」などで階層が固定化します。
– **若者の意識**:上昇志向は広告などで煽られる一方、現実とのギャップから無気力やフラストレーションが増加します。
– **AIの影響**:AIの普及で人間の労働価値が下がり、多くの人がギグワークや副業で生計を立てるようになります。高性能なAIアシスタントは富裕層しか利用できず、格差が拡大します。

**政策への影響と社会的リスク**
– 経済の縮小や不安定化、消費の減少、投資やイノベーションの停滞が懸念されます。
– 精神的健康の悪化や社会サービスへの需要増加が予想されます。
– 若者や移民が他国へ流出し、労働力不足や高齢化社会の負担が増大する可能性があります。
– 生活協同組合や地域コミュニティによる自助的な活動が増え、政府や市場の役割が揺らぎます。
– 高等教育機関が「座礁資産」となり、社会的支持を失うリスクがあります。
– 社会システムへの不信や反発、スケープゴート探し、社会的・政治的な対立の激化も懸念されます。

**結論**
– 社会的流動性の低下は、国民や政策立案者に深刻な課題をもたらします。
– 多くの人が「カナダの成功モデル」への信頼を失い、現状維持や消費よりも「人間的な充実」や「幸福」を重視する価値観へ移行する可能性もあります。
– こうした未来は必ずしも避けられないものではありませんが、政策の見直しや新たな社会像の模索が求められています。