消費者も企業もパラダイス鎖国で恍惚
買い物が好きです。ていうか買い物そのものよりも買い物の場所(売り場)や屋外広告・店頭POPを見に行くのが好き。ひとりでどんどん回ります
1989年冬に大学の卒業旅行(実際には留年・・)ということでリョーマ同僚の北尾さん(現JSK副社長)とふたりでNY+ロスに行って以来、15カ国以上の国々に何度となく様々な目的で訪ねてきましたけど、そのたび特に努めて観に行っているのは、DFSと家電店、GMS/スーパー、お土産やさん、CD/DVD屋さんです。
最近感じているのが、日本以外のアジア人の(買い手としての)躍進ぶり。(前のエントリでも書きましたが)日本においてもスゴイんですけど、世界でも強烈に存在感UPですよね。
中国・韓国・東南アジアの方々に加えて、インドやロシアの皆さんも激しく顕在化。
日本は10年で国外旅行者35%減りましたけど、挙げた各国の国外旅行者は10年でかるく3倍以上でしょう。(適当な目分量ですが)
ということでシンガポールでも移動中やアポ前後の近隣のお店をチェックしているのですが、さすが人種の交差点/多民族国家シンガポール、人口の70%を占める華人のほかにも、アングロサクソン、インド人、ロシア人、西アジアの濃い顔の皆さん、マレー人、ドイツ人、、実にさまざま買い物を楽しんでおられるんです。
加えてですね、やはりというか、なるほどというか、思うことがあります。
それは売り場における 日本製品・日本ブランドの存在感の減少 です。
特にここ数年の家電製品(パソコン等ネットワーク機器・テレビ以外のAV・携帯含む通信系・もちろん白物も)はひどいと思ってました。
佐藤文昭氏著『日本の電機産業再編へのシナリオ』※によれば05年の日本の大手電機メーカー10社(NEC・富士通・日立・東芝・三菱電機・ソニー・東芝・シャープ・三洋・パイオニア)の売上高合計は51.3兆円だそうです。
日本のGDPの約1割を占めているこれらの企業の商品を店頭で見たり、広告を見たりする機会が急に減ってきている気がしてならなかったのです。
電機に限りません。
近年、日本の消費財企業は国際的な市場競争に徐々に参加できなくなっています。
否、多くは参加登録すらしていない。
国内の高いブランドポジションに甘え、高い単価で売れリスクの低い日本市場に巣食っているのではないか、、とぼんやり思っていたのです。
なんでそうなっちゃったのかなぁ・・と少し前から思っていた私に本年4月、どでかい気づきを与えてくれたのがこの本です。
パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
海部 美知
Tech mom from Silicon Valley というブログを書いておられる才媛 海部美知さんによる著書なのですが、とにかく眼から鱗。
彼女はこうした日本の現況を同著において 『中からも外からも、つながろうとする力が弱まり、日本は孤立しつつあるのではないか』 という仮説を持ち、加藤も感じていた『もう、日本人は海外に行きたくなくなったし、海外のことに興味がなくなたのかもしれない』状態をパラダイス鎖国と名づけたのです。名コピー。
どんな本かはamazonやネット上に数多ある書評をご覧ください。
そして皆さんできればこの本読んでください。お奨めです。
この本との出会いが、加藤をトドメの一発が如くシンガポールへ押し出してくれました。そう、日本はいま『パラダイス鎖国』なのだ、と加藤も強く思っています。
※ 海部美知さんの『パラダイス鎖国』からの引用です