私も履歴書 11 |狂おしい、ですよね。ちょっと。

 

そんな状況になったもんだから、さなさんはそもそもマハラジャのマハラジャだったわけで、もうアレです。


 

関西の主要な私立大学の試験と合格発表が一通り終了した2月の半ばあたりから、けっこう羽根も生えだしていました。
マイライセンスの電話受付時間は、朝10時から夜7時。
、、だいたい9時くらいまでフリーダイヤルはなるわけですが、その後はミナミへ繰り出そうということなのです。
毎日毎朝、僕が記帳に出向くたびに、三和銀行の新大阪駅前支店の通帳には24万円(残金)もしくは2万5千円(申込金)がじゃんじゃん振り込まれているわけです。
僕は記帳の度に、さなさんにしやんの言われるがままに小口現金として5万円10万円と引き出してきていました。
僕ら(・・といっても、僕自身は付録というかお付きみたいなものでしたが)がミナミで行くお店はだいたい決まっていました。
それを夜な夜な巡回するわけです。長堀、鰻谷、周防町、アメリカ村、三津寺、道頓堀、戎橋、千日前界隈の顔なじみのディスコ、パブ、スナック、プールバー、生演奏のバー、クラブにちょっと顔を出す。寄ったときに仲間が居たら少し長居して一杯二杯のむ。また次の店に行く。
お店の経営者というかマスターというかトモダチというか、まぁ身内のノリでした。なんつーか、それが格好よかった。
いま冷静に思えば、さなさんにしやん二人とも、僕は2つ程度しか年は離れていなかったわけですが、、あの頃はもう大先輩というか、雲の上のエラい御仁でした。
生徒さんからは入学前日までに全額入金があります。
手元にお金のない学生さんでも、自動車教習所は分割ローンも組めたので、マイライセンスでは東京総合信用さん(後のクオーク、現セディナ)のローンを提供していました。
24回払いのやつね。そのローン申込書にサインして貰えれば、まぁだいたい親御さんの信用でローンは9割方は通りました。たしか年利11%とか、けっこうな高金利でしたけど。
その東京総合信用さんからも月に2回くらい、まとめてローンの方の分の売り上げが振り込まれます。
つまり、2月も半ばを越えると、毎日お金を引き出しても、通帳の残高は増える一方とだったわけです。
これは狂おしい、ですよね。ちょっと。なんせ4000万なわけですから、
   *   *   *
かたや、もちろん支払いもありました。
2月末には、1月末日までに自動車学校に入校した生徒さんの自動車学校の費用をまとめて支払いました。
3月末にも、2月末日までに自動車学校に入校した生徒さんの自動車学校の費用をまとめて支払いました。
ところが3月3週目あたりから、ふたりの様子がおかしくなってきました。
もともと一人あたりの粗利益は2万~2.5万円しかありません。9割以上が原価の商売です。
そんなことは最初から分かっていましたし。もちろん二人も分かっていたでしょう。
でも逆に言えば、粗利益は400万円はあるはずです。
とはいえ400万円も呑んでしまうということはない、だろなぁ、とは、稚拙な僕も思っていました。
ところが、やっぱない、ようなのです。 ないすか、なるほど(笑。
ふたりして「銀行に、借り入れを申し込もう」みたいな相談をしている両名の口元に、狭いワンルームマンションのオフィスの端っこで、事務や電話の受付をしていた僕の気はとられていました。