法人税・個人所得税を下げないと海外流出! ・・なんてことは起こらない
経済産業省が「日本の産業を巡る現状と課題」というレポートを発表しましたね。一言でいうと非常によく出来ていると思います。あわせて青木理音さんによる解説や池田信夫さんの解説が素晴らしいのでこちらもおひま観てご一読くださいませ。
さて!コレ読んでどう解釈すべきかっていうと、結論は藤沢数希さんの仰るとおり
@kazu_fujisawa 普通に読めば徹底的な金融資本主義によって国内のM&Aを加速し大規模なリストラを断行して、法人税・所得税を香港並にして世界から企業と富裕層を呼び込むのが解だとしか思えない
(2010年3月6日 21:22) としか、僕も思えないのです。
ところが実際には現在の民主政権では、この財政破綻前夜の日本で、
ナニをトチ狂ったか真逆の方角で、内部留保課税や所得税上限の引き上げ騒動などを起こしています。
もはや失神と下血の連続で真面目に立っていることすら困難になる今日この頃です。
最近では、このような体たらくを憂う新聞やtwitter、ブログ論壇で多くの方々から『世界一水準の法人税率・個人所得税を下げなければ、多くの日本企業や富裕層が海外脱出する』と、いつもに増して強い論調が増えだしました。
真っ当な議論だとは思いますし、確かに国際的な法人税率・所得税率の引き下げの流れを鑑みれば、そう言いたくなる気持ちもよく分かります。僕もこの世界の潮流に大逆行したアフォ話には、ほとほと国民をバカにしている、と思います。強い憤りを覚えています。
しかし、、、さんざん考えた挙句、僕は『多くの日本企業や富裕層が海外脱出する、なーんてことは起こらない』という結論に達しました。
そしてきっと霞が関のエライ方々もこの結論に至っていることでしょう。
まぁ一言でいうとなんだかんだで富裕層も普通の人も低所得な人も、日本人は皆、日本が大好きだからです。居心地も最高なのです。しかも海外に出るにしてもどうしていいか分からない人が多い。ナニを隠そう、つい一昨年まで僕自身がまさにそれに該当していました。
こんな驚愕な調査結果も出ています。
◆一ヶ月後に日本が沈没するとしたらどこに移住?。
「日本が沈没するぞー!」どこのアジアの国に移住する? 5000人調査結果
・・まぁ悪い冗談はさておき、しかも以前にも増してますます巣篭もり傾向は強くなっています。鎖国指向の強い民主党が与党であることも、いまの国民性を示していると言えるでしょう。
もちろん、現在の日本の証券取引所のルールで上場企業が本社を海外に移転するのが極めて困難(やろうとすると一旦TOBなどで上場廃止にするしかない)だから、ということもあります。
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僕は移住以前から『なぜシンガポールには世界から成長企業や起業家、富裕層が集まるのか』を考え続けています。
そして現段階では大分すると
・(日本のような)衣食住環境+安心安全 に加えて
・税環境(所得税・法人税)が安い+贈与税/相続税がない
・安価な外国人労働力の調達が可能
・高価値の外国人財の集積
・言語・人種・宗教がバリアフリー などが大きいとみています。
一方の日本ではシンガポール並の衣食住環境+安心安全は得られるものの、外国人にとっては
・宗教や人種的慣習などの多様性への寛容の無さ
・ガイジン差別
・世界最高水準の高い税率
・英語・中国語がまったく通用しない
・移民制度がいまだ無整備 などの事情で
海外の優秀な人財も日本を職場には選ぶはずがない、と考えられます。
即ち外国人にはとんでもなく暮らしにくい国です。故に日本人には居心地がいい、裏を返せば日本人は日本にいれば海外の優秀な人材との競争になることもないのです。このあたりは以前「世界競争力報告とビジネスの環境」でも取り上げたのでご覧ください。
個人だけでなく、海外の成長企業を誘致する事も(日本国内の消費がよほど見込める場合を除き)ほとんど出来ないでしょう。
日本は既にあまりに法人税が高すぎるだけでなく、国内で調達できる労働力コストが世界一水準だからです。
製造業派遣手配は禁止になりそうだし、アルバイトの最低賃金を1000円!!にするとか言ってるのが与党にいます。JSOX対応などコンプラ要請ばっかに加え、総理はCO2を25%削減とか無茶苦茶言っている。
そう考えると、これからのアジアは2~30年は雇用需要は爆発間違いなしですが、こと日本においては雇用が回復することなど、僕は現状ではほとんど考えられません、残念ですが。
ナニが言いたいのか?って
もちろん、我が国は徹底的な金融資本主義によって国内のM&Aを加速し大規模なリストラを断行して、法人税・所得税を香港並にして世界から企業と富裕層を呼び込むべきということですよ。かなーり望み薄だけど。