日本は5年後も変われない? 人材とマネジメントのグローバル化への課題:再掲 2013/8

寄稿『海外ビジネスコラム』の再掲5回目ということで…これで最後です。この回はグローバル人材って日本企業(2023年的に言うとJTC)には難しいってという警鐘でした。5年というか…10年経っていますがなんら変わっていませんよね。ま、2033年になっても同じでしょう。

コラムのなかでは、海外で起業するウミガメが日本人に必要だ、と唱えています。時は経ち、2020年以降は暗号資産/Web3領域で、日本では税制などの規制で取り組めない事業をシンガポールやドバイに移住して取り組む起業家が急増しました。

すぐ下の写真は2013年10月の三原弘之さんと僕です。この頃の彼はウミガメとなるべくクアラルンプールにて起業に挑戦してた頃。氏はその失敗を乗り越え、翌年7月からビットバンクの第一号社員として参画、後にCOOまで務めました。そして今またシンガポールにてクリプトファンド運営企業Cygnosの経営に取り組んでいます。僕も全力で応援中。ぜひ!ウミガメになってほしいものです。

コラム下の写真の隣には2013年の、僕の大学来のビッグボスである真田哲弥さん(KLab社長、シンガポール子会社KLab Global設立時)が写ってます。

 

グローバル化という言葉が叫ばれて久しくなりましたが、果たして日本でグローバル化は実現されているでしょうか? 私は、グローバル化とは組織を変えること、グローバルな組織を作ることだと思っています。そうした意味では、5年後でさえ、日本の会社がグローバル化できているとは思えません。

私は、「アジアの人材が優秀だ」「欧米の経営者は実績を出す」などとは思っていません。日本にも優秀な方はたくさんいますし、ベトナムにだって、ミャンマーにだって数多くいらっしゃいます。

ただシンガポールにいると、優秀な人材に巡り合える可能性が高い、とは思っています。シンガポールには各国の企業からフィルターを掛けられた優秀な人たちが集められるからです。人種は関係なく、環境こそ全てだという考え方です。

当然、会社経営は優秀な人がすべきだと思います。そう考えて、日本企業のボードメンバーをみてみると、やはり違和感を覚えざるを得ません。日本企業の経営陣は、ほとんどが日本人です。それは、人種が重視されている証拠に他なりません。

実はマネジメントのグローバル化は、各国においてものすごい勢いで進んでいます。シンガポールや香港を中心に、マネジメントボードには国際色豊かな名前が並びます。

しかし、日本においてはそうではない。日本の上場企業では、役員に占める外国人の割合は1%にも満たないでしょう。そして、5年後であっても外国人がたくさん名を連ねていることはないと思います。日本企業は日本企業自らのロジックが壊せないからです。

私は、それではいつか立ちいかなくなるのではないかと思いますが、日本国内を見ていると難しい状況にあると思います。そうしたことも要因となり、日本国内では優秀な外国人を採用できません。それが更に悪循環を生んでいくことになります。

かと言って、日本で外国人が会社を起業するのは難しいし、従業員のほとんどを外国人にするのも難しい。だから、真の意味でのグローバル化は、日本国内では難しいのです。これは日本にとって由々しき事態です。

しかし、そうした状況を打破できる方法があります。それが私の一番やりたいことでもある「ウミガメ」を生み出すことです。中国では起業家が非常に尊敬されており、ジャック・マーや、ロビン・リーといった海外で起業し、凱旋してきた人たちが、ウミガメ族と呼ばれ持てはやされています(※ウミガメ族:海亀は中国語で「ハイグイ」と発音し、海帰と同じ発音になることに由来)。彼らは中学校の副読本にも紹介されるほどの人気です。

中国では、海外に出て、活躍するということが、最も尊敬されることなのです。それだけに海外に挑戦する人が多くなります。韓国なども同じで、なんと国民の10%が海外進出していると言われています。それに対して日本では、イチローといったスポーツ選手は別として、そうした人たちはあまり見受けられないですし、現代の起業家が教科書の副読本に登場することもありません。

是非、日本の次世代リーダーは、海外で起業したり、事業経営の経験を積み、凱旋してきてグローバル化した日本企業を築いて欲しいと思います。そうすることによって、好循環が生まれ、日本は国際競争力を取り戻し、まだまだ世界と渡り合っていけるはずです。

海外ビジネスコラム  2013年08月16日

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