新しい総合広告会社をつくる|週刊ダイヤモンド 2006年1月14日号

勝手に文字起こし=デジタル化 をする日広社長としてのインタビューシリーズの第二弾は、 いまに続く長寿誌である週刊ダイヤモンド( ダイヤモンド社)2006年1月14日号。
特集 「10年後の大企業 厳選450社」においてPart4 非上場企業版 成長を続ける高収益企業 編の先頭に掲載されたものです。
僕が経営していた頃の日広(1992~2008)において最も状況がよかったのが、2004~05年(2005年6月期)で『我が世の春』でした。総売上73億円、申告所得17億円…8億円超の法人税を納めたときはさすがに身震いしたのを覚えています。

 

本業である広告業が絶好調だったのを背景に、レップ業、新規事業と何れも出来すぎなほどの結果が出たこの頃に、経営者としての思考の成熟、優秀な人材獲得サイクル、個人としてのスタートアップ投資成果、顧客との関係も頂点を迎えました。

 

本誌は2006年初に発行されたものですが… 1月16日にはライブドアショックが発生したのを契機に、中小型株は翌年に続く大暴落。世間は一斉に「ネット系」を総攻撃し→上場していたクライアントは軒並み大幅安。 更に過払い金返済命令が出て、メイン顧客だった外資消費者金融が日本撤退に。売上は2006年5月の10億円初到達から一気に僅か半年で6億を切る奈落落ちの危機を迎えます。記事の最後に【 設立してからは、特に危機はなし 】とありますが、この直後に2年続く無間地獄が待っていたのです。

 

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  Part4 非上場企業版 成長を続ける高収益企業  ~会社設立20年以内の非上場企業を対象に、法人申告所得が3年連続伸びている企業を選び出した。玉石混交の150社だが、未来の大企業が入っているはずである~

 

日広  順位4位●申告所得の伸び率136.9%
自社媒体は持たず目利きに徹する

 

各年の申告所得の伸び率が200%(三倍)以上の会社は、上限を200%としているが、それは異常値を排除するためだ。この上限を外すと、トップになるのが、インターネットをメインとする広告会社の日広である。申告所得は7496万円、5.7億円、17億円、と増えている。

 

顧客であるクライアント企業のリピート率は高まりつつある。また客単価も上昇基調にあり、成長を牽引してきた。ほかのネット広告会社と一線を画す経営スタイルがこの成果を生み出している。他社は利益率の高い自社媒体の育成に注力している。だが、加藤順彦社長はあえてこの手法に背を向けた。「客観的な立場からクライアントに成り代わって、最適な媒体を買い付ける会社をつくりたい」と考えたのだ。自社媒体の広告枠を優先させるより、クライアントの広告予算の使い方をコンサルティングできる”目利き”になろうという戦略は高い支持を得た。

 

「顧客の立場に立って、媒体の組み合わせを提案できる総合広告会社をつくる」と意気込む加藤順彦社長

 

同社のもう一つの特徴は 、リスクを極小化する徹底した”身の丈経営”にある。加藤は大学生時代、仲間と出資して会社をつくった。だが取引先が予告なしで二ヵ月後の支払いを四ヵ月後に延ばしたため、会社は倒産。新卒社会人になってわずか一か月目のことだった。
この苦い経験が生きている。日広は創業以来、金融機関から借り入れは行わず無借金。設備投資にもきわめて慎重なスタンスを崩さない。特段の営業用の設備は持たずに最低限に抑え、人件費と家賃だけが固定費というローコスト経営を続けてきたのである。

 

現在、ネットを取り巻く広告環境は大きな変革のただ中にある。「ネット広告を手がけたこの七年間で、商材として同じものを扱ってきたのはヤフーの広告枠のみ」(加藤社長)という。この業界の商材は陳腐化を宿命づけられている。「今期扱っているもののほとんどは、来期には手がけられない」という変化の激しい業界なのだ。

 

広告環境は急激に変わりつつあるが、既存の広告代理店のビジネスは変化していない。広告枠をクライアントに売るだけのビジネスを続けているところが多く、取り扱う媒体も、テレビならばテレビ専業、新聞ならば新聞専業という会社が多い。各社の出自の多くがテレビ局や新聞の子会社であるという事情もある。

 

そんななかで加藤が目指すのはクライアント企業のウェブサイトを中核に、見込みの高い顧客予備軍をいかにひきこむのかの提案に注力することだ。ネットやモバイル広告だけでなく、顧客の要望に合わせて新聞・雑誌、交通広告、テレビなどの既存メディアも組み合わせて展開する。目指すはこれまでにない、新しい”総合広告ベンチャー企業”である。業績は引き続き好調で、2006年六月期の売り上げ目標100億円は、射程圏内に入った。

 

わが社のデータ:
売上高 :73億円 (単体)
経常利益 :非開示
従業員数 :118人
設立年 :1992年
目指す会社は? :新しい総合広告会社
尊敬する経営者は? :田口弘 ミスミ前社長
これまでの最大の危機は? :学生時代、最初につくった会社は取引先が突然支払いを2ヵ月延ばしたため、倒産した。今の会社を設立してからは、特に危機はなし
Ⓒ 週刊ダイヤモンド 2006/01/14 新春特大号