日本にもいよいよ広告コンサルティング会社が必要では

2020年4月18日

借家に入居してちょうど一週間が経ちました。

オーナーの代理人って方がいるんですね、当方も不動産会社さんを使って探していたので、僕にも代理人もいるんですけど。

その顔ぶれ皆で揃って立会い、元々ついていた傷の指摘とか、入居してはじめて気づいた不具合とかをお伝えし、修理すべきはしてもらう交渉をするんです。
けっこうきっちりやります。

ある意味、不動産は貸し手も借り手も無数にあるわけですから、双方の利益代理人がいるのは合理的だしスピードも早いな、と思うわけです。

外資系広告会社の役員を務めていたこともあって、たまにアメリカの広告業と日本の広告業の違いについて訊かれることがあるんですが、
思うに最大の違いは「購買代理」というか、クライアントの代理人という立ち位置 が確立して存在していないことにあるのではないかと、以前から思っています。

日本って、これまでずっとテレビも新聞もラジオも、そもそもマス媒体といわれるものの数・種類・パターンが非常に限定的でかつオプションも少なかったから、
広告会社は世に存在する媒体をひととおり舐めておけば「ぜんぶ」のなかからチョイスしてお得意先に提供することが可能だったわけですね。

実態として 利益=マージンは媒体から「販売」手数料(上代の15%~20%)
としてもらうものが粗利益のほぼ全て、みたいな。

日本でもメディア・バイイングとは言いますが、実際はメディア・セリング。
日本には2000社くらい広告代理店があるらしいですけど、数で乱暴にいっちゃうと広告「販売」代理店という業態が日本の広告会社の99%だったわけで。

欧米は既に(あるいは最初から)この媒体販売手数料って20%どころか1%~2、3%位になってるんですよ。(日本も一部のクライアントでこうなっているんですけど)

故に、かの地での媒体調達は規模の経済で利益捻出する世界になっていて、欧米は広告会社の合従連衡が進んだ結果、各広告コングロマリットごとそれぞれにセントラルバイイングをおこなう「メディア・エージェンシー」が存在してるんです。

では
欧米の広告会社はどうやって儲けているのかっていうと、弁護士や会計士のサムライ業の世界同様にタイムチャージすなわちフィーの世界になっているんですね。同じエージェンシーでも関わる人財のレベルによって、一時間あたりの料金も違うのです。

ところで
ネットが現れ普及したことで、日本もついに媒体と呼ばれるものや、プロモーション手段が、不特定多数無限大の組みあわせで検討できる時代になってまいりました。

ネット以前は、広告主のほうが広告媒体の数に比べてはるかに多かったのが、逆転し、圧倒的に広告媒体/手段パターンのほうが多くなった、と言えると思います。

そこで加藤は、これからは日本でも広告コンサルティング業という業態がありえるのではないかと思っています。この業態は某社広告営業企画シニアマネージャーとしても知られる友人
タカヒロさんのブログで05年1月30日(古!)に紹介されていて知ったんですけど。

ここで紹介されているシステム・アイさまが実際に提唱されている
ポジショニングを見てください。

たしかに欧米では広告主と代理店のあいだに入る「広告コンサルティングサービス」業者が現れマージン率のカットや代理店選定をやっています。こういう表にしてもらうと分かりやすいですね。

加藤は99年、現エムアウトの田口弘社長が提唱された
マーケットアウト理論に猛烈に感化されました。
果てに「いまの日本の広告会社はほとんど全て媒体社の販売代理店が実態だ。これからの多メディア時代こそ顧客視点で取り組む広告会社が必要なのだ!」という天啓に恵まれたのです。

しかしながら日本の広告業の利益構造は、媒体社の設定する売価(グロス)卸値(ネット)販売手数料(マージン)によって律されています。

マーケットアウトを実現する→真の目利き=購買指南業を体現するには、マージンではなくフィー(作業料金)を利益源にする構造としなくてはならないのですけど、云うは易し、行うは難し。旧来の業界の構造が理想の具現を阻んできました。

一方で近年はSEMやYoutubeモデルによって「リーチ、露出量、視聴率ではなく、純粋に提示されているアイデアがいかに生活者とブランドの関係性やつながりを変えたのか、ということが評価の指標」となる時代を迎えつつあり、純粋にフィーで生業を立てる広告コンサルティング(!)会社が登場してもおかしくない状況となってきています。

本格的な多メディア時代となる近未来は広告手法やビークル選定も更に複雑に混乱していくでしょう。
宣伝部に交じり広告会社にオリエン出したり、課題や提案依頼を整理する仕事を務める存在は必要になりそうです。

なんせタカヒロさん同様、加藤も「広告主側のオリエン内容の良し悪し(=目的の明確化)が成功の8割を占める」と思うので。