年代の端境期 における感傷ボソリ (暗め)

2020年5月11日

 
今回は実に個人的な感傷、しかも・・・暗めのポストなので、朝とか読むのはお奨めしませぇん。

10月19日、
小学館さんが男性向けグラビア誌「sabra(サブラ)」を来年1月25日発売の3月号で休刊すると発表しました。

その一報を聞いた時、   あちゃー、と。

大袈裟でなく真面目に 撮りおろしの非脱ぎグラビア雑誌としての最後の砦 が堕ちた感がありました。
この事実は、年初来続いていた一つの雑誌の休刊という以上に、雑誌産業にとっては穴が大きいと思った訳で。

前にも少しこの場で書いたことがあるのですけど、私は92年から97年頃まで雑誌広告で食い扶持を稼いでいました。

経営していた日広(現NIKKO)が96年にネット雑誌そしてネット広告にそぞろフィールド転向しようかな・・という頃が最盛期。毎月届けられる広告取扱いの掲載誌・見本誌だけで150種を超えていました。

毎月5~600ページ売ってました。社員/バイト5、6人で紙焼き/版下/MOの入稿をぶんまわします。実際の広告掲載誌も、版元や廻し代理店から取扱1ページにつき最低2冊は届くので1500冊/月 以上がバンバン佐川ヤマトで届くわけです。お得意先にどんどん発送していかないと、気を抜くと事務所が雑誌で埋め尽くされる勢いでした。

振り返れば、日本の雑誌広告市場のピークは翌97年でした。これには、ある種の必然(雑誌とネット、市場のトレードオフ)もあるかとは思います。
おそらく雑誌の販売市場そのもののピークもその年でしょう。(96年の雑誌の総発行部数は51億2千万冊/約4000誌発行

あれから12~13年。
30~40誌はゆうにあった(同じく96年前後がピーク?)非脱ぎグラビア雑誌がついに絶滅です。
既にこの産業にいた多くの人も喰いっぱぐれてきたでしょう。
(もちろん、まだFRASHや週プレはありますが、これらはいわゆるグラビア専門誌ではない、と考えると絶滅したといっても語弊はない と思います)

今も、僕は数社の雑誌広告専門の広告会社の社長さんと親しいお付き合いをさせていただいています。呑み友達にも週刊誌/月刊誌/スポーツ新聞の記者・編集者・広告マンが多いです。

ご一緒にお酒を酌み交わし他愛ない話や昔話を愉しくさせていただきつつも、
いっぽうで愛すべき大先輩・先輩・同輩の皆さまが、失礼ながら絶滅に瀕してる産業技術の匠に見えてしまいます。

最近はすっかりtwitterにハマッテいる加藤ですが、その中でも
ひと昔前の、雑誌文化の繚乱期に一世を風靡した、グラビア・カメラマンさん、トップ屋の皆さんの武勇伝はほとんど目にしなくなりました。

たぶん今はジュラ紀から白亜紀へと、まるで地質年代の端境期みたいなもんなのでしょう。
生態系そのものが劇的に変わっています。その証左に、かたや新しい職業も多く産まれていますからね。

ネットが登場して干支ひと廻り。
もちろん雑誌業界だけではありません(笑)。多くの職種がネットによって、いよいよ選択を迫られています。

変化を受け容れ、今まで生きていた年代と、新しく始まる年代をうまく渡れる「両棲類」に変態(メタモルフォーゼ)し、今までの呼吸も忘れず、異なる呼吸法を身につけねばなりません。

頑張って新しい呼吸法を身につけるか、潔く職種の淘汰の定めに従い、これを機にリタイアを選ぶという選択している人も、私の周りにも現れてきました。潮時、という悟りでしょうか。

裏を返せば、いや本当にこれからの数年は新規起業する若者にとっては大チャンスだな、としみじみ思います。

いままで儲かっていた人たちが軒並み儲からなくなっているわけですからね。その予算がシフトしてる新しい方角に店を開けばいいはずなのです。