円安を喜ぶな

2020年4月18日

2月以降、急激に円安が進んでいます。吊られて日本株安が続いています。日経平均は7000円を切らんという勢いです。

円が、日本が売り込まれているのです。

不本意ながら、年初に予測した円高!株高!とは真逆の方向に進んでしまっております。すいません。

このドル高・円安(→株安)を、加藤は以下のように解釈しています。

まず
政治に対する期待値の明暗。
世界金融危機となったいま、洋の東西を問わず政治のリーダーシップが期待されてる局面です。米国内外のオバマ政権に対する期待値と、いっぽうの日本の麻生政権→政権交代以降の空虚 に対する失望と不安が反映されている、と思っています。

加藤は原理なき原理主義者(遠藤浩一さん評)にしか見えない小沢一郎さんが率いる今の民主党にはまったく期待していません。(↑要すると政策にまったく一貫性がない選挙至上主義者ってことです)

ただ、いまの戦後最低支持率10%の麻生内閣の状況をみるにつけ、民主党への政権交代は消去法的に必至である上で、その小沢首班及び民主党の運営能力・政策創造力が余りにも?であるが故に、結果として政治的・経済的「空白」状況が続くだろう・・・で「日本売り」ということです。

さらに
35年ぶりの落ち込みとなった10-12月のGDP12.7%ダウンに象徴される、金融危機震源地であるアメリカ以上に弱っている日本経済の実態が明らかになってきたことがあるでしょう。
2月25日に発表された1月の貿易統計が過去最大の赤字額になったことで、1-3月期のGDPは10-12月よりも悪くなる気もしています。

もう一つ加えて
日本マスコミの円高ネガティブ報道も挙げたいです。
ウォルト・ディズニーではないけど、信じていれば夢は必ずかなう ということです。悪夢もまた真なり。

「円高で悪くなる、悪くなる」といい続けた悲観報道一辺倒のマスコミの論調にほだされて、極端に日本人・日本企業が感化され財布の紐を閉ざしてしまったんじゃないでしょうか。
逆に資源のない日本にとってはむしろ円高は歓迎すべき点 が数多あることはまったく報じられてませんでした。
(ぼくは、↑日本のGDPがこれだけ下がってしまったのも、円高パニック報道が遠因したとも思っています)

そもそも2007年に過去最高になったとはいえ、日本のGDPに対する輸出依存度はせいぜい16.3%ちょっと。まだまだ少ない

2月21日付の日経1面記事によると、継続して10年のデータの取れる上場企業1688社(金融除く)のうち、売上高の海外比率が25%を超える企業は464社と1/4程度しかないのです。(残りの1224社は25%以下の内需型企業)

円高になれば、ほぼ0金利なのに何故か資産を円で持っている日本国民には、その価値が1.3~1.4倍に増えたのと同じなのだから、総論で得です。また消費財、原材料ともに輸入代金は少なくなり、結果として可処分所得も増える計算になります。

どっちみち以前から申し上げているように、日本の輸出型企業はプレーヤーが多すぎであり、業界内再編が不可欠な状態です。

それに円高だろうがなんだろうが、日本の主要輸出産業はグローバル経済への対応がこの10年でかなり進行しています、トヨタ・パナソニックはもちろんのこと、たとえ65円になろうともホンダもファナックもシャープもコマツもキーエンスもYKKも潰れるようなことにはならないと思っています。

そもそも加藤は
ここ十年の異常ともいえた円安とパラダイス鎖国の進行が日本のものづくり・価値づくりの競争力低下を招いた、とみているのです。

(厳しいようですが)このたびの円高はそういった意味でも、日本の輸出業態に対してもチャンスになると考えていました。

一方
円高は良い点がたくさん。

ご承知のとおり製造業を営む企業は今あらゆる原材料が暴落しています、そこに円高によって更に安く海外から安く手に入れることが可能になったわけです。

石油・ガスなどのエネルギー、木材(紙・パルプ)さらに鉄鋼・アルミ・銅からレアメタルにいたるまで、輸入→国内消費型企業(内需型企業)にとってはきわめて有利な状況です。

これらの内需型企業の業績が上向けば(実際、直近状況をみてもかなり底堅い)投資家が株式を買う動機につながります。

さらに当たり前ですけど、円高になれば日本の貨幣的信用が高まり、金融市場では円建ての債券や株式等の金融商品が買われやすくなります。

また輸入品だけでなく原料安によって一般消費財は安くなります。
もちろん海外旅行も年末以降、急速に伸びている状況です。

それでも
10月以降に円高が深刻な問題になっちゃったのは、あまりにもその進行が早かったから。

つまり一時の「ズレ」の問題だったと思っています。

今回は急速に円高になっちゃったんで、多くの日本企業がこの円高をプラスに取り込むことが短期的に出来ずにいました。

その影響で業績が悪化した企業(今回の金融危機に関しては、ほとんど全ての企業)が、雇用に慎重になっています。それが不景気・不安・雇用減・信用収縮に繋がっているのだと思います。

でもこの「ズレ」さえ矯正できれば、
1400兆円の個人資産があるという老える国民も
(関連してこの記事は面白いっすよ)
外需(輸出)型そして内需型企業も、
いまのところは世界第2位のGDPの我が国も、
円高を吸収できる余力はあるはずなのです。