交通網利便の進行が更なる東京集中を加速する 仮説 (後編)

2020年5月14日

 
悪夢のような現実「高速道路無料化=道路公団の再国営化」がとうとう動き出してしまいました。

無料化先行実施、高速道の2割で  地方路線6月から(読売新聞 1/30)

6月より「全国の高速道路の2割程度にあたる1500キロ前後で6月から先行実施」に。具体的な無料化対象は、北海道横断道、日本海沿岸東北道、山陰道、沖縄道などの35区間前後が想定されています。

・・・ほんとうに残念です。このことが我が国の経済を劇的に後退させるだけでなく、鉄道/フェリーの民間交通会社の弱体化、地方の過疎化を一気に進行させ、再び際限のない建設促進へと繋がっていく、ということについて何故、解らなかったのか悔しくてなりません。

民主党の圧倒的勝利以降も、実に多くの識者、経済学者たちが、この愚策について具体的な弊害をあげて、実現の見直しを訴えてきました。まったく耳が傾けられなかったというとでしょう。禿(;´д`)トホホ…

◎■ 民主党は高速無料化から勇気ある撤退を |猪瀬直樹の「眼からウロコ」

 ■ 高速道建設、国が支援 公団に「先祖返り」 小沢氏の要望を拒めず

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さて、今回のエントリは、09年8月末の衆議院選挙の2週間前に書いた「交通網利便の進行が更なる東京集中を加速する 仮説」の後編です。民主党の総選挙に向けたマニフェストの目玉政策であった高速道路の無料化を揶揄・批判するために書いたものです。

この際にも少し触れたのですが、皆さんは ストロー効果 というコトバをご存知でしょうか。はてなキーワードにはこう書いてあります。
地方に高速道路や新幹線、橋などの交通インフラが整備された際に、地方の活力が大都市に奪われてしまう現象。
                          ※Wikipediaだとこんなに詳しく解説されています。

加藤は 端的に言うと
地方主権、すなわち道州制の実現に筋道をつけないままでの、単なる高速道路の無料化は、いわゆるストロー効果を極大化してしまう、と従前より思っています。更なる東京一極集中へ導く、極めて危険な選択だ!と見ているのです。

東京近県の衛星都市に新幹線がやって来て、その地域が東京からの日帰りエリアになったことで、徐々に駅前のオフィスビルから支店支社営業所が、近郊地域の社宅が、ビジネスホテルや歓楽街が、ものの見事に消えていったことを考えてみてください。

シャッター通りが増えたのも、交通が至便になって、より品揃えの多い、より安いモノが買えるところに人々の流れが集中したから、地元の消費がなくなったことに起因しています。

同じことが、これからは高速無料化が実現した全国の行楽地や名勝、そして都市で起こるでしょう。

そう、お目当ての目玉景勝の見物だけして/顧客の営業サポートして&社長に顔出し挨拶して、高速でさっーと寝床に帰っちゃうのです。

森田新知事のゴリ押しでアクアラインが800円になってから、鴨川シーワールドの動員人数は増えましたが、鴨川の旅館やホテルに泊まる人の人数は増えるどころかむしろ減ったと聞いています。

地方の高速が無料になることで、地方から東京への移動のトータルコストは飛躍的&劇的に下がります。
そして、このことが直接的に作用して 地方で稼いだお金を東京で消費する、まさにストロー効果消費が超進行する でしょう。

東京以外日本全国過疎化への頓服薬としては激しすぎる効力。あまりにも酷いシナリオです。

これを見越し(+折からの消費不況も相まって)既にヨーカ堂やイオングループなどの流通業の大手は地方店閉店と都心での出店強化を並行して、猛烈な勢いで推進しているようです。

逆説的ではありますが、
 加藤は富山県福井県豊かさ度がきわめて高いのは、新幹線が未だ開通していなかったり、高速道路網が整備途上であることが大きく関係していると思っています。
<勝手な自説ですいません(;´∀`)>

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長年にわたり究極の税金無駄遣いであった道路公団の民営化は、小泉改革の柱であった郵政の民営化と並ぶ大快挙であり、まさに21世紀の日本国の在り方を示す成果となるはずでした。
・・なんの為の05年の郵政解散だったのか。まったく悔しい限りです。

(当時の民営化実現に向けての激闘は、自らも民営化の委員として活躍した上記コラムも著されている猪瀬直樹さんの「道路の決着」に詳しいです。ぜひご一読ください)