交通網利便の進行が更なる東京集中を加速する 仮説 (前編)

2020年5月19日

 

8月13日、民主党の岡田克也幹事長が、マニフェストの目玉である「高速道路の原則無料化」について「われわれはもともと首都高速と阪神高速は無料化するつもりはない」と言明しました。

そら、まずもって良かった。
無料化なんてしたら、ただでさえ常に渋滞中の都心の交通網に大混乱が起こることは、もとより分かり切っているわけで。完全バカ集団でないことは立証されたと思います。
 
それでも僕は高速無料化にはヒジョーにネガですけど。
いまの週末1000円もいますぐに止めてほしい、と思っているほどです。

僕には票集めの人気取りにしか見えないんですが、そもそも民主党は、なぜ高速道路を無料にしたいと思ってんでしょうね。

気になったので、民主党の言い分を見てみると
ここには、 総合交通ビジョンの実現 と題して

「以下の三つの視点で総合交通ビジョンを策定し、その実現を目指します。
(1)自動車中心の街づくり政策を転換し、路線バスや軌道系交通(鉄道、路面電車、次世代型路面電車システム(LRT)等)を充実

(2)道路を整備する費用をバス事業者等に補助し、サービスが向上するインセンティブを与えることにより移動困難者の利便性を確保

(3)路線バスや軌道系交通機関などのマス・トランスポーテーションを見直し、環境負荷の低減につながるモード(交通機関)の整備――などに努めます。

と、あります。
つまり自家用車中心の社会から、公共の交通機関網を整備するので、そっちに切り替えましょう、ってことが・・・書いてあるんですね。

ええー!?。

今の土日1000円やアクアライン800円ですら、フェリー会社や鉄道会社は超!劇的にに売上下がって存亡の危機に瀕してる会社もあるくらいなのに、無料にしたら、ますます自家用車社会が促進されるような気がしちゃうんだけど、、。

もちろん、
この下のほうには 高速道路の無料化 についての言及があります。

ここには以下の4点が記載されていますね。大事なところなので一つ一つ掘り下げたいと思います。

(1)生活コスト・企業活動コストの引き下げ(最大2.5兆円の国民負担の軽減が可能、家計消費増や企業の設備投資・賃金引き上げ等で内需拡大)

※ いちばん大事な点ですね。
識者やマスコミ、あるいはNEXCOなど現行体制の関係者は、国民の血税をドライバーのみにメリットのあることに遣うのはおかしい、と主張しています。いわゆる受益者負担の原則はどうなるのか!非運転者がソンだと、いうことです。

これに対して
民主党は「高速道路が無料になれば国民全員に益がある」と力いっぱい主張しているわけです。ひらたく言うと「遍く消費財は道路交通網を通じて物流しており、高速代が無料になることによって、それら消費者購入価格に反映する」ということです。

ほぼ全ての消費財に値下げ可能な糊代が一気に出来るはずなのだ、ということですね。

たしかに高速道路の無料化によって物流のコストは劇的に下がることは予測されます。だからシャンプーも刺身も牛乳も雑誌も、販売価格に大きなインパクトがでてくるのかもしれません。

また(有料では割に合わなかったけど)無料になったことではじめて流通が始まる地域の物産もあるでしょうな。

でも僕はコレが相当怪しいと思っています。そんなことになりますかね。
100歩譲ってモノの価格下落が実現したとしましょう。でもそれって本当にいいことですかね。

(2)地域活性化(生活道路、地域道路としての利用、サービスエリア・パーキングエリアの活用を含む観光産業活性化など)
 
※ 高速道路をね、生活/地域道路として利用したり、サービスエリア・パーキングエリアをコレまで以上に頻繁に使うって。あぁ、これはね、進むと思いますよ。

無料になったら、いままでの何倍!も、バンバン県外に、今まで行かなかったようなところに出て行くことになりますよね。もう、ものすごく出て行く。
特に若い人がド━(゚Д゚)━ン!!ドン遠出するでしょうね。
外の世界はあまりに刺激的で、何人かは、そのまま帰ってこないかもな。

だってさ
既に週末1000円だからって、九州から香川県に讃岐うどん食べに来てるらしいじゃないですか、たーくさん列をなして。無料になったらめちゃくちゃに並ぶだろうな。

もうわんさか山を県境を越えてプレミアムアウトレットにも並ぶんでしょうね。アハハハハハ・・・・。
でも、それって本当に地域の活性化なんですかね。

僕はぜーんぜん違うと思いますよ。むしろ逆ぢゃないか、と思います。

(3)温暖化対策(渋滞の解消・緩和、CO2の発生抑制など)

※高速道路の利用料金を無料にすることで、
・ 渋滞が緩和される
・ Co2の発生が抑制される ということが書いてあります。

僕は高速道路が無料になれば、今よりももっともっと多くの人が(公共交通機関を利用せずに)自家用車で、より遠くまで、より便利で品揃えの多い商業集積地=都心まで、出て行くことになると確信しています。

無料が故に、自家用車で気楽に遠出する人が増え、移動距離が増え、ガソリンの消費量が増えることは予想できるのですが、、、、それが温暖化対策になることについてはイメージが湧いてません。

(4)ムダづかいの根絶(バイパス建設抑制による財政負担の軽減など)

※ 高速道路を無料にすることで(4)を図ります!っていわれても、はぁそうですか・・・としか言いようがないような気がします。
加藤は無料にしたことで得られるはずの収入をどぶに棄てている=究極のムダじゃんと思っているからです。

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あぁ今回は途絶して、続きはまた書きます。   ※ 2010.1.31加筆 後編は→こちらです