これだけは注意したい、海外進出の落とし穴。盲点となる「あるリスク」とは?:再掲 2013/7

 

10年前のサイト出島への『海外ビジネスコラム』寄稿の再掲3回目。その頃の写真を載せてるわけですが、総じて今よりぽっちゃりしてます。今より体重は3~4Kg多かったんですけど、新コロ禍を前後して、金太郎細胞を点滴して、筋トレした変化はあります。若見えというより引き締まった感か。

今回は、東南アジア展開の留意点として、予定通りいかないこと、賃料リスクを挙げてます。これは…10年経った今も同じですね。この写真は10年前のクロスコープ シンガポールの入居企業の看板と僕です。

 

計画の遅れを想定して、スケジュール・資金の管理を

海外進出には落とし穴がたくさんあります。私の実体験の中で、苦労したことについて二つほどお話します。まず、「計画通り」ということを期待できないということ。そして、成長国ゆえの「賃料」の問題があります。一つづつ見ていきましょう。

まず、「計画」についてですが、現地で店舗を持つ、営業拠点を置く、といった場合には注意が必要です。仕事がガサツだったり、納期を守らなかったり……、と問題が数多く出てくるからです。私の経験から言えば、とくにインドが大変でした。

現地の施工会社に内装をお願いしたのですが、当初の設計図通りにできてこない。コンセントの場所とかを勝手に変えてしまってるんです。「なんで? 書いてあるところと違うじゃん!」といったありえないことが本当に起こる。その時は、日本という国はつくづくいい国だと思いましたね。

青写真通りにできて当たり前、というのが通用するので。アセアンでは、まだまだ納期や時間守らない上に、設計図と違い作りなおさせる手間と時間がかかる。当然、どんどん計画は遅れていってしまいます。これを想定していないと痛い目にあいます。

賃料交渉のせいで、儲かっていても撤退?

また、二つ目の落とし穴ですが、日本はデフレでしたし、物価も安定しています。だから、家賃が急激に上がったりはしません。たとえ、上がるといってもせいぜい10%とかでしょう。しかし、シンガポールやジャカルタは、2年後に倍になることもある。

「クロスコープ」のようなレンタルオフィスの場合、入居者に価格を反映させる弾力性があまりないので非常に苦労しました。入居時期もバラバラなので契約期間も一律にはなりませんし、突然出て行ってもらうわけにもいきません。

それなのに、家主は次の更新時に4割増し、それに従わないなら出て行けとか言われたりする。気に入らないから出て行けと言われても、入居企業を置いていく訳にはいかない。シンガポールのクロスコープには、部屋が32室あって、それぞれ違う会社が入っています。だから転居することだってできません。仕方なく、なんとか価格交渉を試みますが、入居企業の賃料にも反映しなくてはいけません。

ミャンマーやカンボジアの飲食店でも同様のことが起きています。初年度、非常にうまく行って儲けが出た。さあ二年目も、と意気込んでいると賃料が跳ね上がり、売上は良いのに撤退、なんてことになりがちです。

アジアでのビジネスにおいて、当初は地代の交渉がけっこう難儀します。そうした交渉をいきなり素人がやるのはリスクがあります。そういう意味でも、クロスコープがある意義は大きいのです。シンガポールやジャカルタの不動産は2年間解約できない契約が基本です。大きすぎたり小さかったりしても動けないんです。クロスコープであれば、3ヶ月後に出ることもできれば、部屋の広さを柔軟に変えることも可能です。

是非ご活用いただければと思います。それでは次回は、これからのアジアビジネスについてお話します。

初出 海外ビジネスコラム   2013年07月18日

https://www.digima-japan.com/column/market/1440.html