インフラ事業こそ、民間に経営を委託すべきでは

2020年4月18日

年末のご挨拶をさせていただいていると、お逢いする方々から「シンガポールって税率が低い国なんでしょ」とよく聞かれます。

確かにそう法人税は18%。個人所得税も累進ですが平均は同程度です。

そんなに低くて国家財政は大丈夫なのか、と思いますが、国際収支を見るとがっつり儲かってます。

08年は前年の財政黒字による政府財政の剰余金を国民に総額で8億6500万シンガポールドル(当時の日本円レート80円にして、総額700億円ていど)を「経済成長配当金」を支給したほどです。
(でも規模は麻生さんの総額二兆円のやけくそ定額給付金には足元にも及ばないですな)

実は、シンガポールという国は、歳入における税収(法人税、個人所得税、消費税7% 他)比率が40%弱 程度しかない国です。
残りは政府系ファンド(いわゆるソブリン・ウェルス・ファンド SWF)の投資先及び傘下国営企業からの配当収入なんですな。

電話会社(singtel)やリテール銀行(DBS)、エアライン(シンガポール航空)、電気ガス水道のインフラサービス会社(Singapore Power)など国民の生活インフラはほとんど国営のテマセク・ホールディングスの傘下企業であり、各社の産む利益も歳入に大きく貢献してるんです。

そういった意味ではNTTや日本郵政、道路公団と、日本も似たよなモデルだったんですけど、歳入総額に対する貢献規模がまるで違いますよね。
ていうか、日本では国営や第三セクターは赤字&お荷物が基本形、ですか。

さて
本08年1月、それまでに日本の電力開発会社のJパワー(電源開発)の株の9・9%を持っていた英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)が、外国為替及び外国貿易法に基づき、20%までの買い増しを申請しました。
すると日本の経済産業・財務両省は「国の安全などに懸念がある投資」「公の秩序の維持を妨げる恐れがある」と判断。ファンド側に投資の中止を勧告し、買い増しを断念させたことをご記憶の方はまだ多いのではないかと思います。

上場している電力会社への投資に対し「国の安全に懸念」という日本の対応は、世界中の投資家を唖然呆然とさせました。その失望ぶりはほとんど日本では報道されてませんでしたけどね。

かたや
ほぼ同時期にシンガポールは、国営(シンガポール財務省傘下)の電力会社セノコ・パワーリミテッド(SPL)を丸紅・関電・九電などの日本企業によるコンソーシアムに入札で売却しています。

では 日本はさておき
なぜシンガポールは国営の電力会社を売ったのでしょう。

そのほうが上手くいく(=、効率があがる、利益が出る、経営が進化する)と、株主(シンガポール)が判断したから、だと思います。普通に。

もちろん「公の秩序の維持を妨げる恐れ」なんて微塵もない、と入札に諮る段階でシンガポール当局が判断していることが前提ですけど。・・・ハハ。

加藤が思うに
電力みたいな国家運営を支えるインフラ事業っていうのは、基本的に国の行政や法の 蛇口の開け閉め加減の範疇 なんですよ。そもそもの許認可とか。

万が一、任せている経営陣にルール破られたり、「公の秩序の維持」が脅かされそうになったら、極論 蛇口付け替えちゃえばいいと思うんです。国家が超法規的措置で。

そもそものルールを国家がハンドリングしているわけで、故に効率追求が大きく違いを生むよな 規模のあるインフラ事業こそ、経営を民間にアウトソーシングすればいい、と思うんですよね。

(もちろんJパワーの場合は上場企業だったり、TCIがファンドだったこともあって一緒くたにはできないかも、ですけど)

我が日本も(拠って立つ法やガバナンスのルールはきちんとグリップしたうえで)↑シンガポールのように民間にマジョリティを売却したり、中国の一部の国営事業のように 高い年俸で「我こそは!」というCEOを公募したりすりゃ、ちゃんと利益の出ていない国営や第三セクター企業の健全経営も画策できるはずではないでしょうか。

世界規模で雇用の創造が問題になってますけど、やっぱ我が国においては土木系の公共バラマキ投資ではなくて、そのあたりに手を入れてほしいな、と感じてます。ハイ