17の僕が、32の僕に向けて書いた手紙を、44の僕が書き写してみる。(53の僕による追記あり

2020年8月14日

1985年3月29日、大阪府立箕面高等学校2年生だった僕は17歳でした。(4月から新3年生)

春休みの間、母と弟、弟、妹の4名はつくば市で開催されていた科学万博つくば’85(正式名称は「国際科学技術博覧会」)に行っていました。母によると、僕も誘われたけれど留守番を選んだようです。春休みは受験に向けて勉強に集中することにしたんでしょうな。

「人間・居住・環境と科学技術」をテーマとして、国内の28機関と、海外からも47カ国と38の国際機関が出展。
期間は1985年3月17日から9月16日までの184日間。入場者数は2033万4727人(うち、外国人入場者数は約75万5000人)。

記録によると、ソニーが出展した2000インチの巨大テレビ ジャンボトロンや、トマトとジャガイモを掛け合わせた「ポマト」などが話題を集めたそうです。

僕の東京の果てにある蔵には、科学万博つくば’85の御土産のキーホルダーと記念硬貨4枚はちゃんと保管してありました。

その科学博の会場では「ポストカプセル2001」という企画が行われていました。
専用のポストに手紙やハガキを投函しておくと、16年後の2001年正月、21世紀の元旦に配達してくれるというものです。

いわば郵便版のタイムカプセルですな。

で、16年後の2001年1月1日に、僕の大阪府豊中市の実家宛に1985年4月4日の消印(つまりこの日に、僕が預けた手紙はつくば博内に設置されたポストに投函されたのでしょう。)で、僕から僕へのポストカプセル郵便が届きました。はい、今から11年前の正月です。

実際、その日には『ポストカプセル2001』に、科学万博の開催期中に受け付け、厳重に防腐保管された336万通のうち、全国の郵便局の尽力により、僕以外にも何と303万通が無事配達されたということです。なんだそれ。凄すぎる。

ただ、その届いた2001年の正月ってのは、まさにネットバブル崩壊を乗り越えようとしてた真っ只中。
当時の僕の頭の中もビットバレー狂想曲が鳴り響いていて、母親から、その『ポストカプセル2001』が届いてる~なんて連絡があっても、『あっそう。興味ないから、おかん 適当に開けて読んどいて』みたいな対応だったんじゃないか、と思います。

ていうか、それが届いたことも、つい先日まで忘れていました。

昨2011年の夏、シンガポールに引っ越ししてから…5度目かのそこらの帰省で、大阪の実家に寄りました。
その際に、母親から改めて見せられたのが、その『ポストカプセル2001』でした。

そして、ようやく 真面目に、改めて読み直しました。

うーーーむ。我ながら、けっこう立派なこと、いいこと書いてるな。ていうか、これ、ほんとにオレ?随分おっさんぽくないかww。

よし、これから先の未来の自分のために、
1985年の自分が、2001年の自分に向けて書いたコレを、2012年の自分がアナログからデジタル文字に写しておく、というのもオツだな、とか思ったので、勇気出して、ここで以下に記しておきましょう。

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2001年の加藤順彦様

まず無事にこの手紙が着いたことに感謝しよう。
さて17歳の今 私が思い 将来の教訓、指針となっている、というか、しようと思っていることを確認しよう。馬鹿にしないでかみしめなさい!!

1 けじめをつけているか! 会社の金は会社の金。公私混同して
いないだろうな!
2 うぬぼれるな!    天狗になるな。常に人の言うことを良く聴け。
えらそうにするな。
3 家庭を大切に!    子供と話をしているか。奥さんと話をしているか。
相談し合っているか。進学は大学まで極力
公立国立で行け。子供のためだ。奥さんはきれいか?
4 しごとをなめるな!  いつも細心の注意を払って仕事をしているか。
落とし穴は忘れたころにやってくる。
5 親孝行をしているか! 親を大切にしろ!感謝の気持ちを忘れずに!
世界旅行さしてやれ!たのむぜ。
6 健康管理怠るな!   6カ月に一度は体を検査しているか!どんどん
じじいになっているのだから気をつけてくれよ。
せめて一年に一度は行けよな。
7 旧友を大事にしているか! 大事な友達を失うな!年賀状は忘れずに
書け。大谷、渡辺、国富、高島、松岡、、、
みんなと交際を続けろよ!
それでは未来の私よ ごきげんよう。 この教訓を忘れるなよ。
1985.3.29 17歳 まんがを大切に!

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にしても、こんなに字が上手だったとは驚きです。
つか、今が下手すぎなんでしょう。ぜんぜん字を書いてないもんな。最近。

その投函のポスト自体は、こんなカタチ←だったそうです。

 

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【53歳の僕による追記: 2020年7月9日】
諸所の事情により、ここ一週間は東京の蔵に籠り、過去の跡を辿るようなこともしており、2011年に母親から受け取った、17歳の僕による32歳の僕への手紙を再び手にしました。
封筒を開けると、8年前に44歳の僕が手紙を書き起こしたときには、気づかなかった別のメモが出てきて…驚きました。書き写しておきます。

● 大切にしなければならないもの両親、家族、兄弟、旧友、仕事、漫画、昔の写真、誠実さ

● いつも身だしなみを整え、だらしないことをしない。子供の前で服を捨てない。

● 奥さんを大切に。たんじょう日と結婚記念日にはものをあげることを忘れずに!親しき仲にも礼儀あり。

● どんなことがあっても戦争には反対しろ!

いろいろ思うところあったんだろうな…17歳。 ハイ! 承知しました。