IPOが減った一番の理由

2020年4月18日

熊谷さんのブログ見て激しく同意。

いま日本のベンチャー企業が新規株式公開(IPO)に際し、日本の株式市場より海外市場を選択したい、あるいは選択せざるを得ないのは合点がいっちゃいます。

実際、日本では08年の4月~7月は新規上場は毎月たった1社のみです。

ネットバブル崩壊の喪が明けた02年度から増加の一途だったIPO企業数は、06年度の187社をピークに、ここ2年急減しています。07年度は100社を切り、08年度は80社を割り込むのは確実という状況です。

そうなりゃマザーズ、ナスダック・ジャパン(現ヘラクレス)開設が決まって「大公開時代」の幕が開いた99年以降で最低となります。・・まさに10年巻き戻ったということですな。

もちろんIPOが減った原因としては、
・ 公開審査の実質的な内容が厳密化されたこと  があるし、
・ 新・会社法等の施行やJSOXの実施に伴って、公開準備会社においては内部統制の整備と運用に時間とコストがかかったこと  もあるでしょう。

でもね、それよりなにより、思うにIPOが減った一番の理由は、日本のベンチャーが総じて人気がなくなったことだ、と思いますよ。

・一般ピーポー とくに若者
・一般投資家
・外国人含む機関投資家 ※

押し並べてまっ~たく興味・関心がなくなってしまいました。きれいさっぱり。

一般ピーポーの意識に関しては、ほんとに10年前にもどっちゃったなぁ、という気がしています。

もともと日本って、寄らば大樹の傾向の強いお国柄であることは今も昔も変わらないんだけど、、大公開時代の頃の98年から06年まで、ナニが面白かったって、若く元気いいベンチャー企業が我も我も、と名乗りを挙げていたことにあったと思うんですよね。
ビットバレーの頃にはエッジの立った若い経営者達が次々とスター化したことも大きかった。

もちろん、その間にネットバブル崩壊とか揺り戻しはありましたけど、それでもやっぱりインターネットのもたらした本質的なイノベーションの破壊力はもの凄くて、それが06年を頂点とした「大公開時代」を牽引したと思うんですよ。

だから優秀な若者も、学校卒業して、そういう新しい会社に本懐を見出して就職していったんですね。

でも去年から、官僚・当局・マスコミ・政治家が寄って集って、表から裏から、あることないこと、手当たり次第に若気の至りなベンチャーを叩き懲らしめたことで、ほんとに全体が縮んちゃった。

その結果、くまさんブログの↑慶応の学生含め 一般ピーポーはベンチャー経営者に「頭を下げている」イメージ持っちゃった。つまりカッコよくなくなっちゃった。これは痛いんだな。

06年までの数年に上場したベンチャー企業の株価チャートが新規公開時の初値を頂点にロングテールみたく際限なく下がっているのは、ときの株価が妥当だ と買い手が判断しちゃっているわけなので、ある意味仕方がないです。哀しいですが。

しかし人気がないのはマジで不味い。だって一般ピーポー≒一般投資家に、人気ない≒関心ない と 株の売り買い自体が発生しないから。

最近はヘラクレスやセントレックスの銘柄では、日々の出来高が0か1しかないものも多いんです。二進数プログラムか、田舎交番の死亡者数じゃなくて、出来高ですよ。
出来高が1ってことは、今日一日で買った人と売った人が世界で一人ずつしかいないってことなわけで。
これじゃ公園のフリマと大差がなく、取引所としてほぼ機能していない状態です。

そして当たり前だけど、新規上場ベンチャーに人気がない からいきなり株価も芳しくない。新規上場時の最大のメリットの調達もほとんど出来ない。
故に上場する側のメリットも極小化しちゃって、終いにゃ上場を目標とする会社も減るんですね。

ということで10年前に逆戻りです。