シンガポールの隣街ジョホールバルとIKILINKS。|LEON連載 Vol.16再掲
2013年6月、参画先であるゴマブックスの嬉野さんと共にシンガポールとマレーシアとの国境の都市ジョホールバルを視察。その際に、現地を詳しく説明しながら案内してもらった藤村正憲さんに、その御縁から『さあ、あなたも「世界一住みたい国」で幸せに暮らす計画を立ててみよう!』というマレーシア移住生活本をゴマブックスにて執筆(2014年5月 刊)してもらうことになりました。
そう! マレーシアって、実は多くの調査から、移住したい国に挙がるほど人気のある国なのです。東南アジアで長く暮らす僕にとって、ナニがそんなに日本人の心を掴んでいるのか、と考えるに一番の理由は「穏やかさ」ではないかと。中国の人より、シンガポールの人よりものんびりしているというか。怒らないし。日本人が長期居住したい国ランキングで12年続けて1位になってること(ロングステイ財団の調査結果) と繋がっていると感じます。日本人には合ってると思いますよ、雰囲気や空気が。
僕は、藤村さんが社長を務めていた不動産サービス会社の後継マネージャーだった足利俊樹さんに、同社をオーナーからMBO(マネジメントバイアウト)にて買い取るべきだ、と仕向けました。とんとん拍子でMBO交渉は進み、やがて成立。2016年4月から社名変更にて「IKI LINKS Sdn.Bhd.」を名乗ることになったのです。その資本と経営に僕も参画することとなりました。MM2Hってのは被雇用者=給料取りにはなれないんですが、起業開業はできる、というビザ。マレーシアの法人の取締役にもなれる、役員報酬もとれるというものだったので、それなら一丁やってみるか!と。
リブートしたこの会社に僕が参加した目的は、ジョホールバルに雇用創出してくれる日本人や日系企業を招くこと。この地に陣構えを促進することです。なんせここは外国人には生活費が際立って高いシンガポールのすぐ隣。比して住居費は1/4、食費は1/2。そして途方もない予算を掛けて進行しているマレーシアとシンガポールによる合弁都市開発「イスカンダル計画」の尻馬に日本の商いを乗せたい、と思ったのです。
いまのジョホールバルの最大の問題は“仕事がまだまだ足りない”ことです。仕事があれば、働きたい人は寄ってきますからね。その点でシンガポールって本当によくできた仕組みの国だな、と時折、感心し直します。
シンガポールは、外国人を対象に、生まれ祖国よりレベルも待遇も良い、自尊心も満たせる仕事を広くたくさん集めたことで、世界の優秀な人財を募ることに成功しています。ビザを得ることがステイタスみたいな。いかにシンガポール国民に雇用の創造を誘致できているか、が鍵になっています。
僕は2017年夏まで1年10か月をマレーシアで暮らし、シンガポールに舞い戻りましたが、いまは2~3ヶ月に1度は通っています。2014年初頭からの4年で見違えるほど大きく変化したな、と感じるのが
・ モールや総合スーパーが次々と開業。さらにファミリーマートまで続々開業し、なんでも手に入るようになった
・ライドシェアサービスGrabが瞬く間に普及。自家用車がなくても不自由なく暮らせるようになった
・ 中国人、韓国人、日本人の移住者が増えてきていると実感できる
IKI LINKSの企業活動による成果はまだまだですが、なんにせよジョホールバルに暮らす日本人の生活レベルはより快適に便利に安全に向上していってるのは喜ばしい限りです。
今後10年、東南アジアはこの20年超続いた未曽有の経済成長の余波、慣性利益を生み続けます。中間富裕層が最も増え、消費者の生活品質はますます向上するでしょう。面白いのはまだまだこれからです。日本の多くの価値創造企業は、東南アジアで爆発する域内内需を取り込みに行く必要があります。これからでも遅くありません。そのためにマレーシアに、とりわけ東南アジアの経済の中心であるシンガポールの隣街、ジョホールバルに出てきてほしいのです。