日本企業の利益率は低すぎる

2021年9月20日

この3月期の日本の上場企業の決算は、深刻な状況が伝えられている輸出系大手(電機・自動車含め)だけでなくどこもかしこもとんでもなく悪そうです。

なぜ金融危機の震源地であるアメリカを更に上回るほど、日本の企業の業績はここまでも悪くなってしまったのでしょう。

もちろん半導体市況の悪化やデジタル家電の販売不振など外需の急速な縮小による業績悪化はあるでしょう。更に株安と円高のダブルパンチで、財務状況が急速に悪化したことが主因かとは見てとれます。

比べると米国企業の対応の早さが際立ってます。まぁアメリカは雇用や調達、生産の調整/実施のスピードも、今の日本とは段違いの速度でしたからね。

しかし、ほんとうにそれだけでしょうか。

加藤は
それよりももっと本質的に

日本企業の商いの利益率が低すぎること 

が、今回の金融危機で露呈した日本全体を巻き込んだ国家的な業績悪化の最大の原因ではないか、と思っています。

これは もとより上代(販売価格)において設定されている利益率が低すぎて適正ではない、という意味です。

だから、為替が10%超ぶれたことを因に、輸出型だけでなく多くの企業の利益の大半が吹っ飛んでしまうというよな現象が起こっているような気がするのです。

加藤は、一昨年の秋ぐらいから、
ひょっとすると日本という国は
原材料・部品のメーカーも、最終消費財を作っているメーカーも、卸問屋も倉庫会社も、物流会社も、そして小売店も、サービス業も、、、そして加藤が営んできた広告業(対売上 粗利15%!)含め遍くB2Bも・・・みぃ~んな揃いも揃って、ビジネスにおける利益率が低いのではないか、 損益分岐点が高すぎるんではないか、と考えるようになってきました。

その要因として、

まず
Ⅰ 今のガラパゴス日本はあらゆる産業に作り手のプレーヤーがあまりに多すぎる故に、買い手の選択肢も無数となり、国内で価格競争に陥りやすい構造となっていることを挙げたいです。

ものづくりは上手いんだけど、価値づくりができていない。
競合相互の模倣のスパイラルで価値を削りあい、自ら差異化を困難にしている企業を多く眼にします。

結果として優れたモノづくりの結果に対しても、いま消費者は十分な対価を支払っていないんぢゃない?とも見ています。

もうひとつの原因として
Ⅱ 日本の超低金利を指摘します。
日本はバブル崩壊以降、預入金利はほぼ0となりましたが、同時に借入れ金利も世界一低い水準を走ってきました。

資産があれば、それを担保に2%ちょっとの金利で(普通の)企業は運転資金を借りることが出来ていました。世界に比べ、借りなきゃ損といえるほどの超低金利です。
だから大きな資金をぐるぐる回すビジネスのサイズの割に、事業による結果利益率が低くても、やっていけてたんですよ。

【蛇足言っちゃうと、日本の超低金利は過剰なレバレッジ投資を生む原動力でした。実はわが国は今回の金融危機を引き起こした世界の投機マネーの金主だったのです。
世界の法人個人問わず、超低金利で円をガンガン借り、外貨建て投資で儲けようってのが増えた(つまり円キャリートレード)こと自体が問題だったとも思います】

加えて
Ⅲ 低い生産性が挙げられます。
社会経済生産性本部によると主要7カ国の中で日本の労働生産性は最下位。
労働コストが世界とは比較できないほど高くなっています。ホテル・飲食業なんかで見ると、その生産性はアメリカの40%強。同じ宿で同じサービスをするのに、日本ではアメリカの250%ものコストをかけていることになる計算。そら会社にお金残らんでしょう。

ナァナァな協力会社・外注先・得意先とのカルテル的なかよし生態系もあるしね。
いちいち高コストなんですが、日本全体、低利益率が普通だったのでメスが入っていなかったんですな。

最後に
Ⅳ 世界一高い水準の法人税・個人所得税も指摘したいです。
年度末になって社用車という名の私用車とか、自宅の応接セットとか買い換えて利益を削ってる(=納税額減らしている)国って日本だけじゃないかと思うんですよ。

法人も個人も本懐は納税でしょ。
国家の一員として、より多く利益を残し、より多く納税することこそが誉だと思います。

が、余りにも税率が高いが故に、利益として残し報酬として貰うよりも、公私混同上等!で、個人の利得を目的とした消費を年度末に行って申告所得を減らすのが日本の零細オーナー企業の常識。
しかも一流の大企業までが期跨ぎの消耗品購入(コピー用紙やトナーを大量に買う・・・苦笑)を毎年やるんだもんね。アハハ

社長、
PanAsia Partnersとご一緒にアジアに直接進出する!♪ ならさておき、

御社が、まだ日本に留まって、国内内需や輸出でシノいでいく気なのであれば、少子高齢→内需縮小で売上が増える絵はしばらく描けないと思いますよ。

であれば、まず全社全員参加で損益分岐点の(あるゆる原価の)切り下げの施策を実行するしかないんではないでしょうか。不況はまだ続きます。値下げしても利益が出る構造に変えていかないといけないはずです。