郵政再国営化は後世に汚点を残した

2020年5月14日

 
さんざん批判し貶してきたつもりの【郵政再国営化】という愚行が、加藤それなり精一杯の抵抗・反対虚しく(苦笑)・・現実のものとなってしまった。

05年の衆院選は乱暴に言えば「郵政民営化」だけのためにやったものだった。小泉さんは事実上の国民投票をやってまで、自民党(的なコンセンサス)を『ぶっ壊』したはずだった。

たしかに安倍政権以降の自民党はダメだった。だから昨夏の衆院選は負けた。
しかし・・だからと言って、あれだけの犠牲とエネルギーを使って成し遂げた郵政と道路公団の民営化を停止し、また元の、いやそれ以上の巻き戻しを行うべきではない。

なんどもこのブログでも何度も書いてきた通り、加藤は小泉・竹中長期政権(2001年4月~06年9月 5年5ヶ月)による行財政改革は正しかったと今も思っているからだ。

あの頃、僕はベンチャー企業を経営していた。この期間はそんな小生にとっても、日本国にとっても『再生への希望に満ちた』時期だったと記憶している。郵政民営化は、その小泉改革の象徴であった。郵政再国営化はそれを全否定するに等しい愚行だ。歴史に残る過ちだと、強く思う。

『郵政民営化』に反対し続けた挙句、自民党の公認が外れ、それでも反対を主張して国民新党を結成した亀井静香氏。氏は05年衆院選/広島六区にてタカポンを打ち破り、昨年の政権交代で民営郵政を追い詰め、遂に再国営化を自らの手で実現したことになる。

氏はこの再国営化を機に、10万人以上の非正規従業員を正社員にし(=100万の郵政票を獲得し)、郵貯の預入限度額を2000万円に引き上げた。
↑この記事にもあるように明らかに民業圧迫。そしてソレによって集まるカネはそのまま歯止めなく発行される国債引受に回るだけだ。

呆れたことに、この批判に対し鳩総理以下ほとんどの閣僚が「民業圧迫になるようならその時点で見直せばいい」とアフォ発言。嗚呼こんなにも無責任でいい加減な言い草はない。なんという浅はかさ、哲学のなさか。しわ寄せはみんな民間の金融機関が被るのだ。

猪瀬直樹氏のtweet曰く 『郵政民営化前は郵貯の口座は5億口座もあった。人口が1億2千万人しかいないなのに名寄せをしていなかったから膨張しきっていた。そして民営化してから貯金残高が230兆円が180兆円に減った。』と。

このたびの限度額アップで、せっかく減った郵便貯金がまた増えてしまう。そして国債をいくらでも買えるようになるのだ。これがそのままバラマキ政治の財源にされる。

これでは小泉改革がぶっ壊す前のジャブジャブ自民党の構図と全く同じではないか。アジアが大変な勢いで成長している中、日本は未だに『失われた20年』よろしく、後退を続けているのだ。

諦めはしない。ただ・・再び郵政事業や高速道路事業を民営化する為にかかる時間とエネルギーを考えると陰鬱とした気分になる。